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「家」をつくるときの最初のプロセスは、
いうまでもなく、まだ「そこにない」、
まだ「見えてないもの」について、
どれだけ考えられるか、なにをのぞむのか、
それを具体的にイメージできるか
ということにつきます。
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まだ見ぬハッピーなものを一緒に
つくりあげていく、そのことに大切なのは、
お互いに正直でいること。
誰かがえらいのではない、
へんな駆け引きをしたり、
思い込みを持たずフェアでいること。
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へんに先入観をもたず、どうやって
この素材を美しく見せてやるかは考え方、
使い方しだいだし、「空間」の仕組みさえ
しっかりしていれば、どんな素材だって
生き生きと、見違えてくる。 |
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だれかがつくった
古くてピンとこないしくみに
たよることなく、自分が自分でできることを
できる範囲ではじめてみて、
走りながら状況を把握し、
しなやかに、「テキトー」に
対応してけばいいんじゃないか。
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あなたはどんな家に住みたいですか?
その家で、どんなことをして、
どんなふうに暮らしたいですか?
この本は、読者へのそんな質問からはじまりますが、
それは建築家・岡村さんが、
建て主(いわゆる「施主」)との最初の打ち合わせで、
いちばん最初に発する質問でもあります。
本をつくるとき、岡村さんに家を設計してもらった
建て主さんにお話を伺いました。
みなさん、この岡村さんの質問に答えるのは、
とても難しかったけれど、なんで難しいんだろう?
考えてみれば不思議なことだよね、
と声を揃えておっしゃっていました。
そういえば、家を建てるときって、
多くは自分のことじゃなくって、
どんな感じの「家」がいいのかな、って、
家のたたずまいや間取りのことばかり、
考えてしまうような気がします。
岡村さんの家づくりは、真逆の考えかたからはじまります。
つまり、自分がどうあれば快適なのか、
ハッピーなのか、そこに住む人が、
そんなことを徹底的に考えることからはじまります。
巻頭のスペシャル・カラー頁をはじめ、
この本のそこかしこにあるように、
「快適」で「ハッピー」な内容は本当に人ぞれぞれ。
だから本当は、「家」もそれぞれ。
同時にじつは、岡村さんのところに来る人たちは、
予算潤沢でない人が過半数。
だから本当のそれぞれが、徹底的にそぎ落とされた、
軽やかでつつましいかたちで、現れています。
人ぞれぞれ、そして気持ちよくあるために、
どうしても譲れないことを、
まわりの譲れなさと共存させながら、
みんながハッピーでいられること。
どうしたらそんなふうに考えられるのか、
岡村さんがこっそり教えてくれます。
建てる人も建てない人も、必読ですよね!!
(編集担当/清水檀)
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2010-06-04-FRI
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(C)Hobo Nikkan Itoi Shinbun
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